青い鳥

むかし、むかしのはなし。
もう名前も忘れてしまったけど
建築士受験のための夜間学校で知り合った同じ歳の女の子。
住宅メーカーの事務員をしていて、
設計屋になりたいっていってた。

二人そろって無事、学科試験を突破した。
2次試験は製図。
図面なんてぜんぜん描いたことないから教えて、って言った彼女。
私だってまだかじった程度だったけど
重たい製図板かかえて、電車乗り継いで、彼女の家の駅まで行った。

でも
待っても待っても彼女はこなかった。
まだ携帯も普及してない時代。
駅の公衆電話から何度かけても応答がない。
ようやくつながった電話。

「ごめんね、彼氏が遊びにきちゃって。
図面って描けそうにないからやっぱりやめるわ。」

そう、と言って電話を切った。
不思議と腹は立たなかった。
それよりも
がぜん、やる気がでた。
私は、絶対に、合格してみせる、って思った。

思いが叶って私は無事試験に合格したけど
彼女は2次試験を放棄した、とウワサで聞いた。

なんだかすごく
悲しくなった。




ちょっぴり、むかしのはなし。
新米インテリアコーディネーター仲間だった女の子。
華やかな容姿と経歴の持ち主で
政府系の銀行員から外国のエアラインのフライトアテンダントに転職。
何年かシンガポールに駐在して
またまたインテリアコーディネーターに転職したって言ってた。

新米同士、一緒にショールームめぐりをしたり
インテリアの講座を受けたり。
お互いぽつぽつ物件を任されるようになった頃
急に彼女から連絡がきた。

「ちょっとやってみたけど、この仕事やっぱり向いてないみたい。
また違う道、さがすわ」

ふぅん、って言って電話を切った。
さみしい気持ちがよぎったけど
彼女ならそれもアリかな、って
素直に思った。

しばらくしてメールがきた。
“今、富士山のふもとの別荘で自分のこれからについて考えてます…”

なんだかすこし
うらやましかった。




けっこう、さいきんのはなし。
ママ友の知り合いの知り合いの女性。
顔みしり程度の間柄だったけど
私がコーディネーターをしてるってウワサを聞いて
ある日とつぜん、の電話。

「インテリアコーディネーターって前からやってみたくて〜」
「かっこいいよね〜どうやればなれるのかな〜?」
「資格試験とか難しいかな〜?」

矢継ぎ早の質問に
私なりに一生懸命答えて、
資格試験の教材を一式、貸してあげた。

しばらくて貸してた教材を返しにきた彼女。

「やっぱりやめるわ
インテリアの仕事したいのに
関係ないツマンナイことばっかり勉強しなくちゃなんないし」

ははは、って一緒に笑った。
反論する気も起こらなかった。

そんなもんね、
って思った。




みんな、生きる目的っていう
青い鳥をさがしていた。
私も彼女達も。

その途中で、
ちょっとすれちがっただけ。

彼女たちの青い鳥は
見つかったのかな?

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