やさしさ。

実家の祖父は高齢のため、少し耳が遠いです。
昔堅気の頑固で、補聴器は年寄りくさい、と嫌がりつけません。
なので話が聞こえないことも多く、
大声で話かけなければなりません。
何度も聞き返されると、みな少し苛立ったように
必要以上の大声をだして話したりしていました。



そんな祖父がこの正月
めずらしく私の隣にやってきて話かけてきました。

「うらんちゃんはホントにいい子に育ったね、
うらんちゃんはホントに、心の優しい子だね」

と次女うらんをベタ褒めします。

「いえいえ、勉強嫌いで困ってますよ〜」

「勉強なんて、人間、二の次だよ、
勉強ができるからいい子ってわけじゃない。
オレは耳が遠いから、聞こえないとみーんな大声で怒鳴る。
本人は悪気はないだろうけど、
人に怒鳴られるってのはつくづく嫌なもんだ。
でもうらんちゃんだけは違うんだよ、
オレが聞こえなかった時はすぐそばまでやってきて
耳の近くで普通の声で優しく話してくれるんだ。
それでも聞こえないと、ナイショ話するみたいに
耳の周りにかわいい手で丸を作って話してくれる。
絶対に怒鳴ったりしないんだ。
あの子は心の優しいいい子だよ。」





返す言葉もありませんでした。

みんなが祖父に大声で話す様子は
祖父が相手に怒鳴られているようにも見えて
少し、嫌な感じがします。
けれど誰もがそんな光景に見慣れて、
普通のことと思っていました。

母である私が、そうしなさい、と教えたわけではありません。
娘自身がそんな微妙な空気を感じ取って
祖父へのやさしさから出た自然の行動なのでしょう。



損得勘定もなにもない心配り。
純真無垢でまっしろな優しさ。
失ってはいけない大切なこと。


子供に教えられる、とはこういうことなんだ…と
強く実感したお正月のできごとでした。

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